相続した土地、国に返還したい…でもちょっと待って!その前に確認!

 

令和6年8月19日、相続土地国庫帰属制度の運用状況が発表されました。667件が国に引き取られた一方で、却下11件不承認30件と、認められないケースも存在します。

 

国庫帰属制度は、ただ申請すれば誰でも利用できるわけではありません。

 

申請には1筆あたり14,000円の審査手数料がかかり、不承認となっても返金されません。さらに、書類作成も複雑なため、専門家に依頼するケースがほとんどです。時間と費用をかけて申請したにも関わらず、認められなかった…となれば大変な痛手です。

 

そこで今回は、却下・不承認理由の上位3つに焦点を当て、その内容を詳しく解説します。事前に確認しておくべきポイントを押さえ、スムーズな手続きを目指しましょう。

 

却下理由ワースト1位: 現に通路として利用されている土地

 

最も多かった却下理由は、「現に通路の用に供されている土地(施行令第2条第1号)」に該当するというもの。なんと9件がこの理由で却下されています。

 

これは、該当する土地が、すでに地域住民の生活道路や通路として長年利用されている場合などに起こります。国庫帰属が認められると、これまで通りの通行ができなくなるなど、地域住民の生活に支障が出てしまう可能性があるためです。

 

不承認理由ワースト1位:土地の管理を阻害する工作物等がある土地

 

不承認理由のトップは、「土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地(法第5条第1項第2号)」に該当するケースで、12件にのぼります。

 

具体的には、以下のようなケースが想定されます。

  • 老朽化した建物や構築物
  • 放置された車両
  • 倒木の危険性がある樹木
  • 果樹園として利用されている土地に、多くの果樹が植わっている

 

これらの工作物等が存在する場合、国が土地の所有権を取得した後に、撤去や管理を行う必要が生じます。これは国にとって大きな負担となるため、国庫帰属は認められません。

 

不承認理由ワースト2位:国による追加整備が必要な森林

 

10件 が該当した不承認理由は、「国による追加の整備が必要な森林(施行令第4条第3項第3号)」です。

 

具体的には、適切な森林管理が行われていない森林が該当します。

  • 間伐が適切に行われていない人工林
  • 病虫害対策や倒木処理が必要な森林

 

 

これらの森林は、放置すると周辺環境への悪影響や災害発生のリスクが高まる可能性があります。国が土地を取得した後、森林整備を行う必要が生じるため、国庫帰属は認められません。

 

まとめ|事前に確認して安心を!

 

国庫帰属制度を利用する際は、事前に土地の状況を把握し、問題となりうる要素がないか確認することが重要です。

必要であれば、専門家に相談し適切なアドバイスを受けるようにしましょう。

 


 

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著者情報

佐治 英樹(さじ ひでき)
佐治 英樹(さじ ひでき)税理士(名古屋税理士会 登録番号_113665), 行政書士(愛知県行政書士会 登録番号_11191178), 宅地建物取引士(愛知県知事), AFP(日本FP協会)
「税理士業はサービス業」 をモットーに、日々サービスの向上に精力的に取り組む。
趣味は、筋トレとマラソン。忙しくても週5回以上走り、週4回ジムに通うのが健康の秘訣。

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