日本の相続税の特徴と国際比較

公開日 2024年1月11日 最終更新日 2024年1月16日

税収全体に占める相続税・遺産税・贈与税の割合(百分率)をG7各国とOECD加盟国の平均と比較した表

2018-19年の税収全体に占める相続税・遺産税・贈与税の割合をG7各国とOECD加盟国の平均と比較した表※1

日本の相続税の特徴

日本における相続税の特徴は、その比率の高さにあります。G7諸国の中で日本の相続税比率は1.33%と、フランスに次いで高い位置にあります。これはOECD(経済協力開発機構)加盟国の平均0.36%と比較しても、かなり高い水準です。この事実から、日本における相続税の負担が他国と比べて重いことがわかります。

例えばアメリカでは、相続税の基礎控除額が1千万ドル(約11億円)と設定されており、この金額以下の遺産には相続税がかからない仕組みになっています。この額はインフレ調整もされており、現在はさらに高い額になっています。これと日本の相続税制度を比較すると、日本の相続税の負担がいかに大きいかが理解できます。

相続税の種類とその違い

相続税には大きく分けて「遺産税」と「遺産取得税」の二つのタイプがあります。遺産税は、人が亡くなった際にその遺産に課税されるタイプです。この場合、課税の対象となるのは被相続人、つまり亡くなった人の遺産です。アメリカやイギリスではこの遺産税が採用されています。

一方、遺産取得税は、相続によって取得した財産に対して課税されるタイプです。こちらは相続人、つまり遺産を受け継ぐ人に焦点を当てた税制です。ヨーロッパの多くの国々でこのタイプが採用されています。

日本の相続税の位置づけ

日本の相続税は、理念的には「遺産取得税」タイプに分類されます。しかし、実際の税の仕組みを見ると、遺産税タイプに近い特徴を持っています。この点が日本の相続税を理解する上での複雑さを増しています。

まとめ

日本の相続税は、他の先進国と比較して高い税率が特徴です。税の種類は遺産取得税タイプに分類されますが、実際の仕組みは遺産税タイプに近いという独特の特性を持っています。このため、相続に際しては複雑な税制を理解した専門家のアドバイスが役立ちます。

※1 OECDウェブサイトのデータを基に作成

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著者情報

佐治 英樹(さじ ひでき)
佐治 英樹(さじ ひでき)税理士(名古屋税理士会 登録番号_113665), 行政書士(愛知県行政書士会 登録番号_11191178), 宅地建物取引士(愛知県知事), AFP(日本FP協会)
「税理士業はサービス業」 をモットーに、日々サービスの向上に精力的に取り組む。
趣味は、筋トレとマラソン。忙しくても週5回以上走り、週4回ジムに通うのが健康の秘訣。

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