あなたの相続、大丈夫? 実は知らないと損をする「相続リテラシー」の落とし穴

「相続? まだまだ先の話でしょ?」「うちは財産なんてないから関係ないよ」

そう思っていませんか? 確かに、相続は誰にでも起こることですが、普段の生活で意識することは少ないかもしれません。しかし実際には、相続は私達の想像以上に複雑で、早めの準備が非常に重要になります。「うちは大丈夫」と思いがちなご家庭こそ、実は落とし穴にハマっている可能性があるのです。

円滑な相続のために。まず「相続リテラシー」を高めよう!

円満な相続を実現するためには、正しい知識、すなわち「相続リテラシー」が欠かせません。MUFG相続研究所所長の入江誠氏も、「相続リテラシーの向上は、円滑な相続を実現するために不可欠」と述べています。(参考サイト:日本経済新聞 | 相続リテラシーはどのレベル? チェックリストで確認を

相続リテラシーとは、相続に関する基礎知識や法律、手続きなどを理解し、適切な判断や行動ができる能力のこと。相続は、単に財産を受け継ぐということではなく、故人の想いを継承し、家族の未来を築いていくための大切なプロセスと言えます。

あなたは大丈夫? 意外と知らない「相続の基礎知識」チェック!

まずは、ご自身の相続リテラシーがどの程度か、簡単なチェックリストで確認してみましょう。

15項目の相続リテラシーチェックリスト一覧
1 配偶者がいても兄弟姉妹、甥姪が含まれる、あるいはなる可能性がある
2 離婚時に親権を取得し除籍された子どもも含まれる
3 法定相続人がいない場合、遺産がだれに帰属は国庫に
4 法定相続人以外の者に相続させたいならば遺言が必要
5 あくまで目安であり、保証されているものではない
6 遺言がないけれは法定相続人全員で行う必要
7 行わなければ全員での共有状態が続く
8 弁護士による交渉や調停でも不調の場合、確定するには裁判を起こす必要
9 配偶者や子供にはあるが、兄弟やおい・めいにはない
10 主張して受け取るためには侵害した人に請求する必要
11 請求できるのは金銭のみ (不動産や株式等は請求できない)
12 基礎控除 (3000万円+相続人の数×600万円) の範囲内であれば相続税はかからない
13 相続税がかかる場合、申告期限は原則10カ月以内
14 認知機能が低下している相続人は、相続手続きのために後見人が必要になる可能性
15 令和6年4月以降、不動産は一定期間内の登記義務 (違反は罰金)
出典:日本経済新聞 | 相続リテラシーはどのレベル? チェックリストで確認を

【リテラシー分類】
相続リテラシー⾼:チェック数(知っている) が6以上
相続リテラシー中:チェック数(知っている) が2〜5
相続リテラシー低:チェック数(知っている) が0〜1

【 POINT 】

  • 相続人は配偶者と子供だけだと思っていませんか?
  •  → 実は、兄弟姉妹も含まれる可能性があります。
  • 遺言書があれば、必ずその通りに相続されると考えていませんか?
  •  → 一定の条件を満たす相続人には、遺言の内容に反して、一定割合の財産を相続する権利「遺留分」があります。
  • 相続税は、すべての相続でかかるものだと思っていませんか?
  •  → 相続財産の額や相続人の数によっては、相続税がかからないケースもあります。

いかがでしょうか? 相続には、私たちの思い込みとは異なる点が意外と多いことに気づかれたのではないでしょうか。

実は落とし穴がいっぱい!? 知らないと損をする相続の意外な落とし穴

相続リテラシーの現状について、MUFG相続研究所の調査結果を見てみると、多くの人が「相続税の基礎控除」については知っていると回答している一方で、「遺産分割協議が整わないと相続財産は相続人全員の共有状態となり、事業や生活に支障を来る可能性がある」「法定相続分はあくまでも目安であり、保証されているものではない」といった、より実務的で重要なポイントについては、理解が不足しているという結果が出ています。

相続税の基礎控除は確かに重要ですが、実際に相続税の課税対象となるのは、亡くなった方の1割未満と言われています。むしろ、遺産分割協議の不一致や法定相続分の誤解によって、深刻なトラブルに発展するケースが多いのです。

例えば、兄弟間で相続財産の評価額でもめたり、法定相続分で納得がいかず、長年、親交の深かった兄弟姉妹が絶縁状態になってしまうケースも少なくありません。

より良い相続リテラシー尺度を目指して

円滑な相続を実現するために、現状の相続リテラシー尺度を見直し、より実務的で、網羅的なものへと進化させる必要があると考えています。

三菱UFJ信託銀行MUFG相続研究所の2023年の調査では「相続リテラシーの状況の推定を試みたもの」とあるように、これはあくまでも暫定版であり、より良い相続を実現するためには、相続リテラシーをより適切に反映したチェックリストにしていく必要があると言えるでしょう。

例えば、経験上、下記のような項目も網羅することで、人々が抱える相続問題をより的確に捉え、適切な対策を立てることができるようになると信じています。

  1. 生命保険の落とし穴: 生命保険金は、受取人固有の財産となるため、相続税の対象外となる場合が多いですが、高額な保険金や受取人指定の方法によっては相続税の対象となることがあります。
  2. 贈与に関する知識: 生前に財産を贈与する場合、贈与税がかかります。ただし、法定相続人以外への贈与は相続税の対象となりません。生前贈与は、相続税対策として有効な手段となりえますが、贈与税のルールを理解した上で、計画的に行う必要があります。
  3. 相続放棄の注意点: 借金など負の遺産が多い場合、相続放棄をすることができます。相続放棄をした人も法定相続人に含まれますが、相続財産を受け取る権利を放棄する代わりに、負債を負うこともなくなります。
  4. 未成年者の相続: 相続人に未成年者がいる場合、財産を適切に管理するために、家庭裁判所が選任する代理人が必要となります。未成年者が適切な判断能力を持つ年齢に達するまで、代理人が財産管理を行います。
  5. 配偶者控除と申告: 配偶者控除は、一定の条件を満たす配偶者が相続する場合に適用される税制上の優遇措置です。配偶者控除を適用する場合、相続税がかからなくても相続税の申告が必要となるケースがあります。
  6. 不動産の共有登記: 不動産を複数人で分割する場合、代表者一人の名前で登記することができます。共有者全員の名前で登記するよりも、手続きが簡素化され、管理もしやすくなるというメリットがあります。

あなたの大切な家族を守るために。 専門家による適切なサポートのススメ

相続は、人生における大きな転換期であり、複雑な手続きや感情的な問題が絡み合い、ご自身だけで解決することは容易ではありません。

私はこれまで、税理士として、数多くの相続に直面する家族を見てきました。相続をきっかけに家族の関係が崩れてしまう悲しい現実もありました。相続は、人生の複雑な問題と感情が絡み合い、決して手続きや税金の話だけにとどまりません。

だからこそ私は、「相続で笑顔になる人を一人でも増やしたい」、その一心で、日々、依頼者様の心に寄り添いながら業務に取り組んでいます。相続について、少しでも不安を感じたら、一人で抱え込まず、ぜひ私たち専門家に相談してください。

私たちは、豊富な知識と経験に基づき、皆様の状況に合わせて、最適なアドバイスとサポートを提供いたします。

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当事務所では、相続税に関する無料相談を実施しております。路線価上昇による相続税への影響が気になる方、相続税対策について詳しく知りたい方など、どうぞお気軽にご相談ください。経験豊富な専門家が、お客様一人ひとりの状況に合わせた最適なアドバイスをさせていただきます。

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著者情報

佐治 英樹(さじ ひでき)
佐治 英樹(さじ ひでき)税理士(名古屋税理士会 登録番号_113665), 行政書士(愛知県行政書士会 登録番号_11191178), 宅地建物取引士(愛知県知事), AFP(日本FP協会)
「税理士業はサービス業」 をモットーに、日々サービスの向上に精力的に取り組む。
趣味は、筋トレとマラソン。忙しくても週5回以上走り、週4回ジムに通うのが健康の秘訣。

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