相続人がいない場合、財産はどこへ? 特別縁故者や国庫帰属までのまるわかり案内

「もし、自分に相続人がいなかったら、財産はどうなるのだろう…」

近年、日本では少子高齢化が進み、生涯未婚の方やお子さんのいないご夫婦が増えています。それに伴い、ご自身の財産の相続について、不安を感じている方も少なくないのではないでしょうか?

2023年度には、相続人がいないために国庫に入る遺産が初めて1000億円を超えたというニュースもありました。(参考:日本経済新聞)このニュースをご覧になり、「自分の財産も、最終的には国に取られてしまうの?」と心配になった方もいるかもしれません。

でも、安心してください。相続人がいない場合でも、すぐに財産が国に引き継がれるわけではありません。

この記事では、相続人がいない場合の財産の行方について、順を追ってわかりやすくご説明します。この記事を読めば、相続に関する漠然とした不安が解消され、将来への備えについて考える一助となれば幸いです。

相続人がいない場合の財産の流れ

 

相続人がいない場合、あなたの財産は以下のような流れで処理されます。

 

1. 相続財産清算人の選任

 

相続人がいるかどうかわからない、または相続人が全員相続放棄をした場合、家庭裁判所に申し立てをして、「相続財産清算人」を選任してもらいます。相続財産清算人は、故人に代わって財産の管理や清算手続きを行う人です。

 

2. 相続人捜索の公告(6か月以上)

 

相続財産清算人が選任されると、家庭裁判所は「相続人を名乗り出る人はいませんか?」という公告を6か月以上行います。この期間中に相続人が現れなければ、正式に「相続人がいない」ことが確定します。

 

3. 債権者・受遺者捜索の公告(2か月以上)

 

同時に、相続財産清算人は「被相続人(亡くなった方)にお金を貸していた人(債権者)や、遺言によって財産を受け取るはずだった人(受遺者)はいませんか?」という公告を2か月以上行います。この公告によって、故人の債務や遺贈の有無が明らかになります。

 

家庭裁判所が清算人選任時に、6か月以上の公告で相続人を探し、現れなければ相続人なしと確定。同時に、清算人が2か月以上の公告で債権者・受遺者を確認します。
相続人不存在の相続財産の清算手続の流れ | 出典:法務省:新制度の概要・ポイントより抜粋

 

4. 特別縁故者からの財産分与の申し立て

 

故人と特別に親しい関係にあった人(特別縁故者)は、相続財産の分与を請求できる場合があります。例えば、長年連れ添った内縁の妻や夫、献身的に介護をしていた人などが該当します。

 

ただし、申し立てができる期間は、「相続人捜索の公告(上記2)」が終わってから3か月以内と決まっています。期間を過ぎてしまうと、申し立てができなくなるので注意が必要です。

 

5. 財産の現金化(必要に応じて)

 

相続財産清算人は、不動産や株式などを現金化して、清算手続きを進めることがあります。ただし、財産を売却するには、家庭裁判所の許可が必要です。

 

6. 清算手続き

 

相続財産清算人は、債権者への支払いや、受遺者への遺贈を行います。特別縁故者が認められた場合は、その人への財産分与も行います。この時点で相続財産がなくなれば、 手続きは終了です。

 

7. 残余財産の国庫帰属

 

すべての手続きが終わっても財産が残っていれば、最終的に国庫に帰属します。つまり、国のものになります。

 

【重要】あなたの意思を反映させるために

 

相続人がいない場合でも、あなたの意思を反映させて財産を承継させる方法があります。

 

まとめ|専門家への相談も検討しましょう

 

相続人がいない場合の財産の行方について解説しました。複雑な手続きに感じるかもしれませんが、早めに準備をしておくことで、あなたの意思を尊重した財産の承継が可能になります。

 

相続に関する手続きは、専門的な知識が必要となる場合も少なくありません。ご不安な点やご不明な点があれば、税理士などの専門家にご相談されることをお勧めします。

よくある質問(FAQ)

Q: 特別縁故者とは、具体的にどのような人が該当しますか?

A: 法律上の相続人ではないものの、故人と生計を同じくしていた内縁の配偶者や事実上の養子、長期間療養看護に努めた人などが該当します。家庭裁判所が個別の事情を考慮して判断します。

Q: 相続財産清算人は、どのように選任されますか?

A: 利害関係者(特別縁故者、債権者など)が家庭裁判所に申し立てを行い、家庭裁判所が適任者を選任します。

Q: 相続人がいない場合、必ず遺言書を作成しなければなりませんか?

A: いいえ、必ずしも必要ではありません。しかし、ご自身の意思を確実に反映させたい場合は、遺言書の作成をお勧めします。

 

    相続発生前である(デジタル終活・デジタル遺産のご相談)既に相続が発生している(相続税申告のご相談)不動産売却・不動産査定のご相談その他

    参考情報

    著者情報

    佐治 英樹(さじ ひでき)
    佐治 英樹(さじ ひでき)税理士(名古屋税理士会 登録番号_113665), 行政書士(愛知県行政書士会 登録番号_11191178), 宅地建物取引士(愛知県知事), AFP(日本FP協会)
    「税理士業はサービス業」 をモットーに、日々サービスの向上に精力的に取り組む。
    趣味は、筋トレとマラソン。忙しくても週5回以上走り、週4回ジムに通うのが健康の秘訣。

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